by sitigatu_atelier
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春が終わり夏が来る前の今頃の季節は風景に彩りと勢いを感じます。
事務所玄関横のツツジが今満開です。そして外壁にはうツタはアッという間に青々とした若葉に成長して、一軒家の事務所は今年も「緑の館」に変身しました。 ところで皐月の「さ」は耕作を示す古語で、稲作の月であることから「さつき」と呼ばれるようになったとか。 さて、「青森の住宅」がほぼ竣工しました。連休前に完了検査も終わり、今は外構などの残工事が進んでいます。 思えば雪が来る直前の昨年12月初旬に建て方が終了、そして来る日も来る日も雪が降り続く厳しい条件の中での工事でした。 白い景色の中での見慣れたモノクロームの世界から一気に雪が消えて、赤褐色の外壁が北国の澄んだ青空に映る彩りのある風景が誕生しました。 3階のサンルームから眺める残雪の八甲田連山が実に美しく、北国でも春爛漫から初夏へと確実に季節が移っていることを知らせています。 初めて敷地を訪れてから丸2年、青森通いもこれでひとまず終了ですが、これからも四季折々に「青森の住宅」を訪れて、特に厳冬の積雪の様子や初めて採用した蓄熱暖房の効果などについて検証してゆきたいと思っています。 2012.5.10
いつにも増して厳しかった冬がやっと終わりを告げ、東京では今年も桜が満開の季節になりました。
災害公営住宅の計画作業は3月末に報告書をまとめて、国交省に提出して一区切りです。 これからは実施にむけて、ひとつひとつ課題をのりこえてゆく息の長い作業が続きます。 さて3月末に、以前設計した2つの住宅をたて続けに訪れました。 一つは昨年夏に完成した「土浦のすまい」、もうひとつは完成して17年経つ「北新宿のすまい」です。 収納の増設や外壁改修をしたいとの連絡を頂き、久しぶりの対面となった訳です。 この手の対面はいつもそうなのですが、長らく会わなかった子供と久しぶりに会うような、嬉しさと気恥ずかしさ、そして若干の怖さが入り交じった何とも複雑な気持ちにさせられます。 久しぶりの町、通いなれた道、そこに現れたなつかしい「すがた」。 苦労した納まりやしかけ、仕上げなど迷いに迷った様々な表情に出会って、毎週のように打合せを重ね、現場に通った日々がついこの間のようによみがえりました。 二つのすまいとも丁寧に、愛着をもって住まわれている様子が感じられてまずはほっと一安心。やはり住まいのイメージを住み手と設計者がともにつくり、共有してゆくことが大切なのだ、と再確認です。 また「北新宿のすまい」は17年の時を経てムク木材や土壁など、自然素材で仕上げられた室内が美しく経年変化を遂げていて、素材のもつ強さ、奥深さを再認識させられました。 そこに住む人とともに「美しく成長する家」をこれからも丁寧に設計してゆきたいと、久しぶりに二つのすまいに対面して強く思ったのでした。 2012,4月7日 昨年夏に完成した「土浦の家」。寒かった冬を越え、春をむかえ、これから四季を重ねて、ご家族とともに美しいすまいに成長してほしいと願う。またの対面がとても楽しみ。
いよいよ、1年目の3月11日が巡ってきました。
毎週のように訪れる宮城県北部の市町は厳しい寒さの中、二つの表情を私達に見せています。 津波被害のなかった内陸部の静かな日常風景と、そして津波で浸水した沿岸部の壮絶な非日常風景と。 沿岸部の市町では浸水したこちら側と、免れたすぐ隣のあちら側で風景が分断されていて、そのどちらの風景の奥にも、私達に見ることの出来ない深い傷が潜んでいるとひしひしと感じます。 一昨日は仙台市で災害公営住宅基本計画の担当者が集まる合同会議があり出席してきました。各々担当地区の進行状況を報告したのですが、多くの地区で用地の確保や住宅の供給方法に課題を残していて、なかなか順調には進みません。県内では22,000戸の応急仮設住宅に人々が住んでいるという現実と向き合いながら、来年の今頃には一戸でも多くの快適なすまいをつくる事をめざす持続の心構えが今一番大切な事だと思っています。 さて「青森のすまい」は順調に工事が進み、4月中頃に完成予定です。 写真は現場の3階サンルームから見た南側の展望風景です。 勾配屋根から落ちる大量の雪は周囲にたまり、入り口を塞ぎます。 雪おろしに大きな労力と経済的負担がかかり、隣家とのトラブルも多く発生することから、雪国の住宅密集地では今、無落雪屋根が主流です。 奥の山並みは八甲田山です。光がどことなく柔らかくて、春がすぐそこまで来ている事を感じさせます。 2012.3.09
年があけてもう一月半の時間が過ぎてしまいました。
例年になく寒い冬ですが、このところ毎週のように厳冬大雪の宮城、青森通い が続いています。宮城へは災害復興の公営住宅計画の打合せや会議で、そして青森へは大雪のなか工事が進んでいる「青森の家」の現場へ。 思えばあとひと月ほどで「東日本大震災」からまる1年。岩手、宮城、福島の3県で現在、応急仮設住宅52,000戸、民間借り上げ住宅67,000戸、そして公営住宅やURの住宅10,000戸での仮住まいが続いています。 現在は復旧期と位置づけ、来年以降の復興期にむけて、すまいを自力で再建・取得が困難な方(高齢者が多い)に対する公営住宅建設が急がれるわけですがその計画作成チームの一員として登米市、大崎市、松島町を担当しています。 毎週のように訪れる宮城北部の市町は身も凍るような寒さで、2月も半ばというのに春の気配は微塵もなく、津波被害で破壊された家屋や施設が風雪にさらされている風景があちこちに見られます。 一方この厳しい季節のなか、慣れない仮住まいを続けている人を思うと、「復興はすまいから」と強く感じます。はやくしかも大量に供給しなければいけないすまいですが、まちづくりの視点、コミュニティーへの配慮、耐震性・断熱性の確保、省エネ・創エネへの配慮、地元材活用による地域活性化への期待・・それらをしっかりと受けとめ、織り込んだ計画が不可欠です。 考えてみると我々建築家が日頃めざしてきた課題やテーマが「まったなし」につきつけられているのでした。 「建築家という存在が社会に試されている。」そんな緊張感の中でこれからしばらく復興計画の只中に身を置こうと思っています。 さて、青森の現場は厳しい気象条件の中、透湿防水シートと100ミリの断熱材に包まれた快適な室内で、壁下地や造作工事が着々と進んでいます。 とは言っても、一歩外は大量の雪に覆われていて、資材の搬入や足場の確保に多くのエネルギーを使わなくてはならず、そんな中、軽装で軽快に動き回る大工さんたちにただただ感心するばかりです。 悪条件の中、完成にむかって確実に工事が進む「青森の家」にふれると、災害復興住宅づくりに勇気をもらっているような気がします。
12月に入ってすぐに、東日本大震災による災害公営住宅の計画の仕事が始まり、先週は宮城県北部の市町5ヶ所の現地打合せを行い、今週は仙台で県との協議があって、なんともあわただしく日々が過ぎて、気がつけば今年もあと3日となってしまいました。
一方「青森の家」は工事が順調に進み、12月23日には上棟式が行われました。宮城での打合せから引き続き青森に足をのばして、現場打合せと上棟式に行ってきました。 連日の厳しい風雪で青森市内は一面の雪景色です。 11月半ば、寒気が来る前に基礎コンクリート打ちが終了、12月初旬の建て方でしたから何とかこの大雪の前に外部作業は終える事が出来ました。 現場は今、屋根も葺かれ、外壁部も透湿防水シートで覆われ、足場シートですっぽり囲われています。 毎日の現場まわりの雪かきや寒さと闘いながら黙々と工事を進める職人さんたちの姿に触れると頭が下がる思いです。事故のないよう、あせらず慎重に工事を進めてほしいと思っています。 宮城の災害現場を半年ぶりに訪れて、以前と変わらない風景に言葉を失います。 今回の災害公営住宅づくりを通して、建築や環境にかかわる者としての自身の存在が試されている気がしています。 そして、すぐそこに来ている来年は、穏やかで希望の芽を感じることの出来る一年であるように願ってやみません。 来年もこのブログを通して、仕事のこと、徒然に感じた事などを発信してゆこうと思っていますのでよろしくおつき合い下さい。 それではどうぞよい年をお迎え下さい。 2011 12月29日
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